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『婦人朝日』(昭和21年4月号)『婦人朝日』は戦前の昭和12年創刊の雑誌ですが、この号は戦後に復刊されたもので、その後、昭和33年12月には廃刊したとのこと… 戦後すぐのわりには、なかなか粋なデザインの表紙は、山路真護(1900-1969)。 山路は昭和5年から昭和7年までパリに滞在し、サロン・ドートンヌに入選してドランやキスリングと共に注目された画家で、帰国後は二科展を中心に活動する一方、雑誌『航空朝日』の表紙のデザインも担当していたとのことで、なるほどなぁと思った次第です。 なお、当初の全日空のマークも山路のデザインとのこと… しかしながら、お洒落なデザインではあるものの、戦前と同じようにタイトルなどの表記が右から左になっているように、この当時は戦後の混乱期でありました。 巻頭グラビアには、その後に『二十四の瞳』を書くことになる壺井栄の「新しき女性美を」があって印象的です… ~(略)~ 彼女のいでたちは帆布の胸かけ、前だれでズボンの足は男のようにあぐらを組んでいる。金しきを前に、打金、本ものの皮靴などがずらりと並べてあり、靴を縫う彼女の手は躍動している。 それは男と同じ仕事に携わっていることへの確信にみちた姿であるしかもあぐらを組んだ足の丸みに、短く斬った断髪の乱れにまで女性としての健康美があふれているのだ。この美しさはどこからきているのだろうか。それは「戦時利得者」にも豪奢なオーバァにもさがし出すことの出来ない美であり、勤労者にだけ許された特配の美である。 まだまだ焼け跡が残る食料難の時代でしたが、同じくグラビアページには「繊細な感覚を」と題した服飾の提案もあります… この号の特集「新文化を語る」では、音楽と文学、そして絵画については、画家の猪熊弦一郎が語っています。 内容的には、< 何を描いてあろうが、そんなことは気にしないでいい。美しいなあという、それだけでいいんですよ。~ > というような初歩的なものではありますが… 連載小説「今ひとたびの」の三岸節子の挿絵からは、現代と変わらないくらいモダンなセンスを感じます。 画家の黒田重太郎は、長年の配給生活が続く中で、芸術どころではない現状を憂いつつ、「生まれ出づる美」を執筆しています。 ところが食を追う必要なく、余裕があって美を求め、その価値を高め得る立場にある人は、およそ芸術的良心からかけ離れた生活をして来た戦争成金であって、彼等は根本的に美を追究する観念にかけ、ただ金利のみを追究して来た人間であり、真に美をよろこびその価値を高めるような人たちではなかった。彼等をよろこばす美は多く低俗なものにすぎない。 日本は戦後の焼け野原から急速に発展し、20年後には米国に次いで世界第2位の経済大国になったわけですが、上記文中の<戦争成金>を<戦後の昭和から平成の成金>に変えてみても、そのまま現在にも当てはまるような気がします…
by sukimodern
| 2019-02-15 07:00
| Art & Document
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